edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

日経電子版、iPadアプリで紙面イメージ配信へ 切り抜き機能や地域経済面一覧も

 2012年、創刊3年目を迎える日本経済新聞 電子版がますます便利になります。米アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」向けのサービスを今春に開始。さらに全国各地の地域経済ニュースを大幅に拡充します。新年を機に購読をお考えの方には、きょうからお得な「初割」キャンペーンを始めました。電子版の会員総数(有料と無料登録の合計)は120万人を超えました。1年の計は電子版から──。ビジネスに、日々の生活に、就職活動に、ぜひ電子版をお役立てください。
日経電子版特集:「iPadで紙面まるごと読める 全国の地域ニュースも」(2012年1月1日付 日本経済新聞 朝刊掲載)

 明けましておめでとうございます。今年も拙ブログをよろしくお願いいたします。
 2012年1回目のメモは、日本経済新聞電子版のサービス充実に関するもの。2010年3月の創刊以来、順調に会員数を伸ばし、有料会員17万、無料会員との合計120万人まで達しているが、さらなる機能・内容の拡充を今春実施する。以下の2つが大きなポイント。このほか、詳細は不明であるがiPhoneAndroidなどのスマートフォン向けアプリに新機能を続々投入することも告知されている。

 ※画像クリックで電子版紹介ページへリンク

1.iPadアプリで紙面イメージを配信

 日経の紙面を、紙をめくるような感覚で朝刊と夕刊の紙面を閲覧できる。デジタルならではの機能としてスクラップ機能があり、「保存」ボタンを押すと切り抜いたイメージのままiPadに保存することができる。また、電子版の有料会員間で記事を共有したり知らせたりできるとのこと。iPad対応プリンタがあればPCなしでの印刷も可能。
 紙面イメージを持ち歩ける端末にそのまま配信するのは、従来の紙に馴染んできた層に対して強くアピールできる機能だろう。iPadくらい画面の大きさがあれば紙面イメージも比較的読みやすい。階上配達できない高層マンションに住む人など、これでやっと「紙をやめられる」と思う人もいるかもしれない。また、有料会員間で記事のシェアができるようになるというのは興味深い。そういえば昔シンポジウムで「日経新聞の本質は『日本ビジネスマン会』の会報誌」と言われた方がいたが、月々4,000円以上払う必要のある「ステイタスのあるSNS」でも目指しているのだろうか。

2.全国の地域経済面を一覧

 日経電子版では地域経済面として東京地域(首都圏)の紙面イメージを提供してたが、今春以降、全国20地域の地域経済面すべてが配信されるようになる。
 これまでなかったのが不思議なくらいだが、サービス拡充として大きな目玉になることは間違いないだろう。デジタルによりページを増やさずに他地域の情報を盛り込める。iPadでの閲覧も可能。
 考えてみれば、日経電子版と一口にいってもPC版・携帯電話版・スマホ版(ブラウザ型)・スマホ版(iOS/Androidアプリ版)が既に存在し、春以降iPad版が登場することになる。おそらくAndroidタブレットにも早晩対応するだろう。まさにデジタルならではの機能を生かした上で、「自分の使いたいデバイスで、自分の使いたい時に使える」を体現している。
 朝日新聞デジタルが「未来の新聞」を志向し、従来の新聞紙面のデジタル配信を(現時点では)否定しているのに対し、日経にはそういうこだわりもない。テキストだろうが紙面イメージだろうがどっちでもいい、利用者が読みたい方式で提供すればよいという、非常にユーザー本位な考え方だ。紙もデジタルも一体の商品として捉えるならば当然のことであるが、なかなか他社では真似できないことだろう。
 オープン時に一番のエネルギーを注ぐのではなく、オープン後も進化し続けている日経電子版。1月中にWプラン(紙+電子版)を申し込むと、2月末まで電子版が無料になるというキャンペーンを実施中だ(ただし紙の購読料は普通にかかる)。会員数が順調に伸びているのも、「新聞社が読んでもらいたいものを出す」だけでなく、ユーザー視点に立った飽くなき機能やコンテンツ充実の結果ではないだろうか。
日経電子版 広報部|新聞と電子版がセットの日経Wプラン限定「初割」のご案内