edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

ANY連合サイト「あらたにす」が来春終了 Facebookで学生の情報交換支援へ

 日経新聞・朝日新聞・読売新聞の3社による新聞読み比べサイト「あらたにす」が、2012年春をめどにサイトを終了する。サイトを運営してきた「日経・朝日・読売インターネット事業組合」は解散するが、3社による「ANY連絡協議会」を新たに設置し、協力体制を強化するとしている。
 「あらたにす」は、株式会社日本経済新聞社、株式会社朝日新聞社、株式会社読売新聞グループ本社の3社により、インターネット事業での業務提携として2008年1月に開始された新聞の読み比べサイト。
 3社では協力体制のスタート以降、新聞発行や情報配信に関わる様々な分野で共同事業や業務提携を展開してきたとして、これまで事業ごと、プロジェクトごとに随時組成してきた協力関係を一元的に統括する常設機関として、2012年春をめどに「ANY連絡協議会」を設立すると説明。新聞界を取り巻く様々な環境変化に機敏かつ効果的に対応し、新聞事業のさらなる発展を図るとしている。
日経・朝日・読売の新聞読み比べサイト「あらたにす」、2012年春終了 -INTERNET Watch

screenshot
 2008年1月に開設された、朝日・日経・読売の新聞読み比べサイト「あらたにす」が、2012年春をめどに終了することになった。これまで無料で提供してきたiPhoneアプリもサービス終了となる予定。
 3社は前年の2007年に10月にインターネット分野における共同事業と販売事業における業務提携を発表。日経、朝日、読売サイトの1面や社会面、社説をまとめて提供する「くらべる一面」「くらべる社会面」「くらべる社説」といったコンテンツを用意し、記事の一部を3紙並べて表示。全文を読むには、各紙のサイトへ移動するといった連合サイトを運営していた。このほか3社は販売網や印刷体制で相互協力を行っており、この「あらたにす」が“3社協力の象徴”ではなかったかと思える節もあった。
 終了するとはいえ、アクセス数は2011年9月でユーザー数27万、ページビューは560万(Google Ad Plannerによる数値)と、PVベースでは中国新聞東奥日報を上回る。広告収入一本で運営していくには厳しい数値だが、そこらへんの地方紙に比べれば高い数値を持っており、新聞社系のニュースサイトとして一定の存在感は持っていたように思う。
 ただ、毎日「編集局から」というコーナーで日々の紙面の見所を紹介していたり、「新聞案内人」といった独自コラムを用意したり、3社の論説・編集委員による座談会を定期的に実施するなど、結構運用には人手をかけているような印象があった。3社にとって「協力」の範囲で今後も人手を出しコストをかけて運用していくには、収入が十分に見込めない以上ちょっと負担が大きかったのかもしれない。

 ウェブでの展開については、学生がニュースについて議論するページとしてFacebookで展開している『あらたにす 学生は言いたい!』を2012年春にリニューアル。学生編集長を公募し、3社の紙面と連携しつつ、キャンパスライフや就職活動にも活用できるよう、企画・運営に厚みを持たせていくとしている。
日経・朝日・読売の新聞読み比べサイト「あらたにす」、2012年春終了 -INTERNET Watch

 今後は学生を中心としたウェブ上の展開を考えているようだ。日々のニュースやメディアについて、Facebook上で大学生や大学院生たちが実名で大いに議論する交流の場として「あらたにす」の名前を生かしていくとのこと。各社の運用負担を下げ、サイト運営費などのコストを削減した上で、Facebook上のサイトで学生に運営を任せていくというやり方はなかなか賢いやり方のように感じる。
 学生が新聞発の情報を元に議論する場を作っていくということで、新聞そのものの存在感アピールにつながるだろう。実名が基本のFacebookということで、これまで読者投稿などでも実名主義を貫いてきた新聞社のスタンスと合うところもありそうだ。