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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

日経電子版会員が100万人突破 有料比率は約15%

 株式会社日本経済新聞社は3日、「日本経済新聞 電子版」の会員総数が100万人を突破したと発表した。
 日本経済新聞 電子版は、2010年3月に創刊した。会員形態としては、全記事・サービスを利用できる「有料会員」と、有料会員向け記事・サービスの一部が利用可能な「無料登録会員」の2種類がある。今回、これらの会員の合計が100万人を超えたもの。同社によれば、このうち有料会員は14万人を超えているという。
「日本経済新聞 電子版」の会員総数が100万人を突破 -INTERNET Watch

 7月に100万人到達日を当てるプレゼントキャンペーンを行っていた日経電子版だが、8月3日に無料・有料会員を合わせて100万人を突破したことが発表された。日経はプレスリリースで、創刊から1年5カ月で100万人の大台を超えたことで、日本でも電子版が本格的な普及期を迎えつつあることを表明している。
[リリースPDF]⇒「日本経済新聞 電子版」会員総数 100 万人を突破
 注目は有料会員が14万人超と総数の15%近くに達していること。これはネットサービスの世界ではかなり高い水準にあるといってよい。2009年7月に出版されたベストセラー「FREE <無料>からお金を生みだす新戦略」で紹介された「フリーミアム(基本的なサービスを無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能について料金を課金する仕組み)」では、95%を無料(フリー)で提供し5%の人にプレミアム版を買ってもらうことで成り立つビジネスモデルが解説されており、5%が一つの指標となっていた。
 日本のフリーミアムモデル代表といえるドワンゴニコニコ動画の場合、2010年10月のプレミアム会員(月525円)100万人突破時の会員総数は1837万人。有料化比率は5.3%とほぼ同書の通り。また、少し古い数字だが2007年9月時点のミクシィの場合は総会員数約1,190万人に対しプレミアム会員(月315円)約16.3万人と、有料会員比率は1.36%であった。
 こういったこれまでの「ネットの常識」と比較すると、日経電子版は単体で4000円、紙とのセットで1000円(総額5383円)と値段からして非常に高いにも関わらず、約15%という高い数字をマークしている。この数字は、バーチャルアイテムへの課金という手法で10%を越える高い課金率を実現し、営業収益で破竹の快進撃を続けるグリーやモバゲーにも見劣りしない。
 これは紙の新聞というリアルな存在があり、長い伝統と信用の上にデジタルの付加価値を加えられたからこそ達成できたことではないだろうか。インターネットメディアとしても、他の媒体と違う土俵で勝負できる体制を整えつつあるように感じる。
 ちなみに「100万人到達日を当てようキャンペーン」では、クイズへの応募者が増えれば増えるほど当選者数が増えるという試みを行っていたが、このページによると応募者総数は26,582人で、5万人と設定された当選者数が増加するラインには応募者が集まらなかった。ちょっとハードルが高すぎたようだ。

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