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edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売・渡辺会長「私の肉体は60代の若々しさ。あと3年は持ちこたえる」

 7月8日に開かれた読売新聞販売店(YC)の総会。ナベツネこと渡辺恒雄・グループ本社会長兼主筆のあいさつは相変わらず面白い。今年85歳になる氏であるが、そのパワーに衰えはないようだ。7月13日付新聞之新聞に掲載されたあいさつ全文より、適宜ツッコミを入れながら紹介。
[昨年の発言]⇒読売・渡辺会長「紙の新聞が中軸、電子メディアは紙の補完」 - edgefirstのメモ

週刊新潮押し紙報道訴訟勝訴について

 震災後の5月26日、読売新聞が週刊新潮の無責任なデマについて提訴した名誉毀損訴訟に対して賠償金を支払いを命ずる判決が出て、全面勝訴しました(中略)。この新潮報道では、「読売18%、朝日34%、毎日57%が配られずに捨てられていた」と断定しております。判決では「読売新聞においては、“押し紙”が存在するとは推察できない」として、新潮報道が全面否定されました。
 新聞が2割、3割、5割以上もの紙を配らずに捨てるというような不合理な無駄をしていれば、用紙代、印刷代、輸送費および人件費の消耗で直ちに倒産しているでしょう。

 あいさつ冒頭、東日本大震災で亡くなった関係者に哀悼の意をささげた直後にこの話題を持ってくるあたり、よほど嬉しかったのだろう。このあいさつのシチュエーションが社の幹部や販売店の所長を前にした訓示であることを考えれば、「ウチは押し紙なんてしてないんだぞ。いいかわかったか」という意図が汲み取れる。
[参考]⇒“押し紙裁判”敗訴の黒薮氏「読売新聞は紙面で論争を」 – ガジェット通信

原発再稼動について

 このままでは来年には、日本の全原発が稼動停止になります。もし、日本の電力の29%をまかなってきた原発が動かなくなれば、日本の産業生産は縮小し、かなりの企業が倒産し、失業者が増大し、税収は減り、国家財政は破綻する恐れがあります。(中略)政府が安全を保証する点検済みの原発を再稼動していく以外には、日本の財政、経済、産業、国民所得を維持する道はありません。(中略)福島第一の事故で、たくさんの人災的原因が明らかになりました。この経験と知識と高度な日本の技術をもってすれば、耐震性は証明されている日本の原発に対し、さらにどんな津波が来ても、外部電源とつながる炉の損傷しないような防御装置を構築することは可能でしょう。震災後4カ月もたってもこういう措置を稼働中止中の原発に対して取ってこなかった政府は、一体何を考えていたのでしょうか。
 ドイツが原発を中止したといっても、ドイツはフランスの原発から電力を輸入しているからできることです。過剰な原発アレルギーで、日本の電力の3割を止め、節電とか自粛とかを連呼しているのみでは、日本はいずれ産業国家として世界の三等国に転落し、貧困や失業に悩まされるのではないでしょうか。  

 さすがは「日本の原子力の父」と呼ばれる正力松太郎の指針を受け継いでいるだけの発言である。日本の産業のためには原発が必要という信念が伝わってくる。原発のために避難したり、日常生活に様々な影響を受けている販売所の人々もいるだろうが、そういう人を前にしたとしてもきっと「しかし原発は必要だ」と言い切れるくらいの迫力を感じる。ライバルの朝日新聞が紙面上で7月13日に「提言 原発ゼロ社会」という特集を組み、脱原発の姿勢を鮮明にしたのとは対照的だ。
[参考]⇒脱原発宣言 看板だけ掲げるのは無責任だ(7月14日付・読売社説)

内山前社長の辞任について

 内山前社長は昨年春、令夫人が大きな手術をして以来、術後が思わしくなく、そのショックで本人もいささか精神不安定になり、特に3・11の地震後の社務にはほとんどたずさわらないという状態になり、私宛に夫人の介護に専念したいとの辞表が提出されました。
 内山君は私の永年の忠誠な部下であり、私には万感こもごも至る思いもありましたが、新聞社として緊急非常な事態の中、その辞表を認めました。

 渡辺会長の下、1000万部体制を堅持してきた内山前社長だが、昨年秋くらいから業界紙で不仲説が報じられるなど、内部ではいろいろあったようだ。久しぶりに「読売グループの人事異動」という名言を思い出した。
[参考]⇒若返りの陰で進む読売グループの権力集中 - WEBRONZA+社会・メディア - WEBマガジン - 朝日新聞社(Astand)

自身の健康状態について

 内山君の病気のこともあるので、85歳という最高齢で、事実上の最高責任者である私の健康状態について報告しておきます。今月、慈恵医大病院で、世界的な血管外科の権威として知られる大木隆生先生に、全身の内臓検査をしてもらいました。その検査結果の一部を読み上げます。「渡辺さんは、息切れなどの症状もなく、極めて健脚です。血液検査については、γ-GTPが少々上がっている以外、異常はありません。肝機能は極めて正常です。(中略)最も素晴らしいことは、85歳と言う高齢であるにも関わらず、脳に萎縮がまったく見られないことです。人間にとって肝心な脳、心臓、腎臓、肝臓が全て60歳代と思えるほどの若々しさです」以上が目下の私の健康状態なので、新社屋の完成する年、つまり米寿までは持ちこたえるでしょう。

 今回のあいさつで一番面白かった部分。わざわざ医師からの手紙を本社幹部や販売所長が並ぶ前で読み上げるという、これ以上ないアピールである。米寿=88歳であるから、あと3年はオレがやるぞという意志表示だろう。それにしても、脳・心臓・腎臓・肝臓全てが60代の若々しさというのが本当ならすごい。良くも悪くも「生涯現役」という言葉がピッタリ似合う。そして最後には極めつけにこんなコメントが。

 この世には小生が早く往生することを願っている人も少なくないようですが、その人たちは失望されても仕方ないことです。

 なんだか、戦後復興期に長きに渡って総理大臣を務めた吉田茂の「長生きの秘訣は人を食っていること」というジョークを彷彿させる。氏に心の底から早く引退して欲しいと思っている人は数え切れないほどいるだろうが、そういう人たちすら苦笑いさせてしまうように感じる。