edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

読売と朝日の東日本大震災新聞縮刷版を比較した

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 東日本大震災を扱った報道各社の写真集がよく売れているという話題を先日紹介したが、朝日新聞と読売新聞は震災後1カ月の紙面を1冊にまとめた縮刷版を販売している。
 それぞれ1500円前後と、通常の縮刷版(6000円程度)に比べ手ごろな価格であり、戦後最大の災害を日々記録した資料として非常に読み応えがある。Amazonのランキングでも上位に来ており、写真集同様売れているようだ。2冊を入手したので、それぞれ中身を簡単に紹介する。

読売新聞

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 A4判、417ページ、1470円。3月11日の号外から4月11日の朝刊までの震災関連紙面を収録している。
 素晴らしいのはカラー面を全てカラーで収録している点。写真やイラストなどが迫力をもって伝わってくる。通常の縮刷版はモノクロであり、値段の手ごろさも含めこれはファインプレーと言える。また、通常の縮刷版よりもやや厚い紙を使っており、めくりやすい。
 なお、巻末には3月12日から17日までの英字紙「THE DAILY YOMIURI(デイリーヨミウリ)」と、3月17日と24日の「読売KODOMO新聞」の1面が収録されている。異なった編集視点での震災報道も興味深い。

読売新聞特別縮刷版 東日本大震災 1か月の記録

読売新聞特別縮刷版 東日本大震災 1か月の記録

朝日新聞

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 A4判、660ページ、1575円。3月12日の朝刊から4月12日の夕刊までの震災関連紙面を収録している。
 読売と比べ決定的に残念なのが、カラーで掲載したのが3月11日の号外と3月13日の特別号外のみで、他の日が通常の縮刷縮刷版と同様に全てモノクロでの掲載となったこと。収録したページ数は朝日の方が多いものの、読みやすさと言う点でこの差は埋めがたい。しかもカラーの読売の方が若干安い。
 読売に比べて勝っているところは、巻末に「被害状況」「政府・国会の対応」「経済活動への影響」といったジャンル別の記事索引を付けた点。ネット検索では追いにくい時系列の動きをジャンル別に調べられるというのは、資料的な価値として高いものになりそうだ。

朝日新聞縮刷版 東日本大震災 特別紙面集成2011.3.11?4.12

朝日新聞縮刷版 東日本大震災 特別紙面集成2011.3.11?4.12

 歴史的な震災を振り返ると言う点で、本としての読みやすさやインパクトを重視する人には読売新聞を、資料的に細かく調べる使う目的であれば朝日新聞の縮刷版をおすすめしたい。

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 ちなみに、右が2紙の震災翌日朝刊紙面である。
 今回の震災被害は4月1日の閣議で「東日本大震災」と呼称が統一されるまで、朝日や共同通信が「東日本大震災」、NHKが「東北関東大震災」、読売が「東日本巨大地震」と、報道機関によって呼び方が分かれていた。結果的には朝日の「東日本大震災」で統一された。
 このことを“勝った、負けた”というのはもちろん不謹慎な話であるが、結果的に朝日のこの見出しが歴史に名を刻んだことになる。
 なお、宮城の地元紙・河北新報夏ごろ震災縮刷版の発行を予定しているとのこと。ウェブサイト上に震災後1カ月の紙面PDFはあるが、やはり本として出すことも意義は大きい。こちらも震災を記録する上で欠かせない資料になりそうだ。