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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

山梨日日新聞、電子版で夕刊帯に新媒体創刊 県外向けの朝刊配信も開始

 山梨日日新聞社は1日、夕刊電子版「Web Sannichi Evening(ウェブ サンニチ イブニング)」を創刊し、申し込み受付を開始した。共同通信社のポータルサイト「NewsOasis(ニュースオアシス)」を通じて、毎夕5時に配信していく。休刊日はなく、料金は月額1,260円(税込み)。山梨県内、県外在住を問わず、パソコン、iPhoneiPadiPod Touchで購読できる。
 夕刊電子版は、平日は10ページ、土日祝日が6〜8ページとなる。主に20〜30代に向けた雑誌的なバラエティーに富んだ内容で、朝刊を単独発行してきた同社は電子版を発行することで新聞離れをいわれる若者の呼び込みを狙う。
 また、夕刊電子版の創刊に合わせて、県外在住者に向けた本紙朝刊の配信も始める。毎日午前5時30分発行(休刊日除く)で、購読料は月額3,007円(税込み)。
 (2011年4月8日付新聞之新聞より)

 山梨県の県紙・山梨日日新聞が4月から電子版で2つの新しい動きを始めた。一つは、夕刊の時間帯にパソコンとiPhone/iPadで読める新しい媒体「Web Sannichi Evening」を創刊する。もう一つは朝刊の紙面画像を山梨県外在住者を対象に配信すると言うもの。いずれもプラットフォームとしては中国新聞が3月から電子版の配信を始めた共同通信社の電子新聞プラットフォーム「NewsOasis」を利用する。

夕刊電子版はオール横組みの紙面レイアウト。海外サッカーの話題やニュース解説といった内容をはじめ、グルメ情報や仕事に役立つ読み物、山梨県内の流行情報といった内容を日替わりで紹介していく。「県内のイケメンに迫る」や「ユニークな職場紹介」といった企画を盛り込むなど、若者を強く意識しているように感じられるラインナップ。
 県外向け朝刊配信については基本的には紙面をそのまま画像化したものだが、広告部分については削除されている。月額料金が3,007円というのは紙面購読と同じ値段であり、電子版だからといって割り引くことは考えていないようだ。
 おっ、と思ったのはパソコン版のサンプル閲覧で、紙面画像を見ながら該当部分をダブルクリックすると、テキストベースで記事が表示されたこと。新聞や雑誌の紙面画像を配信する場合、これまでは産経iPhone版やビューンのようにテキスト情報は抜け落ちてしまうことが多かったが、この山梨日日の電子版は画像とテキストを両方含んでいる。紙面システムとの連携や日常の運用で結構工夫が要りそうに感じた。
 中国新聞の電子版と同様に、気になるのはアップルが2月に打ち出したiPhone/iPadアプリの定期購読サービスポリシーとの兼ね合い。アップルはAppstoreで配布するアプリを通して新聞・雑誌コンテンツの定期購読を行う場合は、基本的にAppstoreで課金し手数料30%を払うように求めている。中国新聞が販売店経由というオフラインの仕組みを利用するのに対し、山梨日日新聞はNewsOasisのクレジットカード決済のみであるから、まともに抵触しそうな気がするが…。
 これまで朝刊単独版だった新聞社が、電子版というステージで新しい媒体を創刊したことには並々ならぬ意欲を感じる。あと必要なのは、若者向けの紙面を作って終わりではなく、どうやって若者の生活の一部にこの媒体を浸透させていくか、ということだろう。例えば、若者が集まるカフェにこのWeb Sannichi EveningをインストールしたiPadを置き、若者にタダで読んでもらって反応を見るくらいのことは必要ではないだろうか。