edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

日経と毎日が震災報道紙面を連日PDF掲載

 連日報道が続く東日本大震災。各紙とも通常最終ページのテレビ欄を中に移動させ、被害状況や被災地の様子に始まり、原発事故、関東圏を中心とした計画停電など様々な話題を伝えている。
 そんな中、日本経済新聞と毎日新聞がそれぞれウェブサイト上で震災報道関連の紙面をPDFファイルで掲載を始めた。両紙とも震災発生翌日の3月12日朝刊から(毎日は11日の号外紙面から)ウェブ上にアップされている。震災発生以降、両紙がどのような紙面を作ってきたのかが一目でわかるようになっている。詳細は以下の画像とリンクから
 なお、両紙ともに広告や写真の一部をマスク処理し、閲覧できないようにしている。1面の半分近くがマスクされている日(毎日の3月14日夕刊15日朝刊各1面)もあり、少々寂しい。
日本経済新聞(PDF)20110317004709
紙面PDF - 毎日jp(毎日新聞)20110317004707
 産経を除く在京紙が朝刊・夕刊紙面そのものをPDFで無料で広く公開したのはおそらく初めてのことであり、今回の報道に対する力の入れ具合は非常に伝わってくる。
 目的については、両紙ともに「震災のため新聞が配達できなかったり、遅れたりする地域が出ており、被災地へ震災関連情報をお届けする手段の一つ」を表明している。が、正直なところこういった紙面をPDFで配信することが被災者への情報提供に役立つのかということには疑問を感じた。両紙とも東京本社版を転用しているため、被害の大きさやニュースのインパクトを中心に据えて構成されている。
 もちろん中には生活関連情報も載っているページもあるが、まず飛び込んでくるのは感性に訴えかける「大きな見出し」であり、細かい情報は目に届きにくい。そもそもPDFをディスプレイでじっくり見れるような環境があるかどうか疑問であるし、印刷したとしても一般的なプリンタのA4サイズでは文字が小さすぎて満足に読めない。直接被害を受けていない地域向けに用意されたコンテンツのように感じた。
 ともすれば、「これだけのモノを作ってきたんだ」という作り手側の満足感を形に残したい、という意志が透けて見えないこともない。直接の被害は少なくても配達に支障が出ている地域の読者がいるならばこの取り組みの意義は少なくないし、情報提供に様々な方法を用意するのは良いことだが、誰のための情報発信なのかということについては、個人的には消化不良な部分が残った。