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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

朝日新聞、他社の空撮取材を有料サポート 自社航空機を活用

 朝日新聞社は3月1日から、所有する航空機を使って他の報道機関のためにカメラマンなどを乗せる航空機使用事業を始める。国土交通省東京航空局から事業認可を受け、施設検査の合格を得た。自社の航空取材を続けながら報道に限った使用事業を展開する。事業化に伴い安全のための運行体制も強化する。
 朝日新聞社の所有機は小型ジェット1機(C560型)、ヘリコプター4機(AS355型1機、MD900型2機、AW109SP型1機=5月運行開始予定)。東京、大阪、福岡の3空港にそれぞれ格納庫がある。
 東京本社の航空センターが窓口となり、新聞社、通信社、テレビ局から、事件・事故や企画用の取材で飛行依頼を受ける。チャーター料金はジェット機で1時間あたり47万円、ヘリで同25万〜40万円。また、朝日新聞社が自社取材で運行する際に、相乗り取材する場合は別途割引料金を予定している。
 朝日新聞社は自社用の航空取材をしながら、機体に余裕があるときに報道他社の需要に応じることができるよう事業化を取り入れる。(後略)
(2011年2月16日付新聞之新聞より)

 朝日新聞社が所有する航空機の利用を他社にも有料で提供する事業を3月から開始する。すでに読売新聞社、中日新聞社と昨年10月から「航空写真の相互提供」「整備工具類の相互貸借」などを実施しているが、今回はさらに一歩踏み込み、料金を設定して他の報道機関の空撮取材を受け入れるようにする。
 気になる料金だが、ジェット機で1時間47万円、ヘリコプターで1時間25万〜40万円となっている。ググってみたところ、こちらに航空機チャーターの参考料金が時間単位で載っていた。ジェット機の場合、同じ機体(C560サイテーションV)1時間で63万円、ヘリコプターの場合、AS355エキュレイユ2を利用で1時間50万円とのいう料金となっている。これはあくまで参考価格であり、実際の料金とは異なるとのことだが、比較すると値段を抑えているような印象がある。また朝日の自社取材との相乗りの場合はさらに割り引かれるとのことだから、案外競争力はありそうだ。おそらくこの航空機使用事業単体で収益を出すのではなく、機体や設備の有効活用が目的なのだろうから、専業と比べ好条件で戦えるのかもしれない。
 他社では共同通信が東日本で毎日、西日本で産経と合同取材を行うなど、航空取材の共同化も進んでいる。朝日の主な狙いとしては報道・スポーツ番組制作のコスト削減に悩むテレビ局の利用だろうか。かつて日航機墜落や阪神大震災の時には、報道各社のヘリが現場に密集したことで生存者の救出活動が妨げられたなどと批判を受けたことがあったが、相乗り取材によってそれも昔話となっていくのかもしれない。個人的には、世間を騒がせた事件の人物(堀江貴文氏や市橋達也容疑者など)の護送の模様を上空から中継で逐一追っかけるような航空取材は、たとえそれがマスにとって一瞬の関心事であったとしても、早くなくなってほしいと思う。