edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

毎日小学生新聞は「中日の店が売ってくれるお陰で中部で好調」

 一般紙が軒並み部数減の傾向にある中、部数は15万部程度ながら3年以上前年同月比を上回っているという毎日小学生新聞。編集長のインタビューが少し前の業界紙に掲載されていた。紙面の特色や新学習指導要領への対応など、興味深い内容が多いが、販売方面で気になった項目があったのでメモ。

 ――販売が好調なようですが。地域的には中部が好調だと聞きます。
 部数は多いときで15万部くらいです。大昔は60万から70万ということがあったようですが。

 中部がなぜいいのかというと、毎日は名古屋の販売網を見直して、周辺部はほとんど中日に預けています。それで何が起こったかというと、毎日の店にとっては昔から知っている商品でも、中日の店にとっては競合媒体のない商品。子どものいる家庭には入っていきやすい商品になるわけです。そういったところが一生懸命売ってくれています。中日には専売店でも売ってほしいと言っているんですが、さすがにそれは難しく、検討段階です。
 ――部数増は3年以上続いている。
 前月比だと、学年が変わる4月は前月比で厳しいが、対前年比は実数で増えています。3%から多い月で10%くらい。
 ――毎小が読みたいから、本紙も変えるという人は多いですか。
 ないこともないでしょうが、それは先の話。本紙が読売や日経で、毎小を読んでくれる家庭は増えています。もしくは一般紙は取らないが、子どものためにこれだけは欲しいというケースもあります。配る手間はいっしょで、お店の収益的にはあまり良くないので、快く思わない店もあるでしょうが、これだけ本体が冷え込んでくると、これでまずはやってもらいたい。
 ――中部地方以外で濃淡はあるんですか。
 やはり、都内や多摩地区など、教育熱心で受験が現実にあるところが多いですね。地方に行くと私立中学に行くということもあまりありませんから、そのために取る人は少ない。ですが、雑学も含めて、いろいろな知識をつけて欲しいという方は、地方でも取ってくれています。
 (2010年10月27日付新聞情報「毎日小学生新聞・森忠彦編集長にインタビュー」より)

 毎日小学生新聞は1936年に創刊されて以来、紙齢2万5千号を超える、日本でもっとも歴史のある子供向け新聞。主に小学校4〜6年生を対象とし、読者の7割を占める。タブロイド判8ページの日刊紙で、日曜日には「1・2年生のページ」が加わり12ページになる。購読料は月1430円。ライバルである朝日小学生新聞は月1720円だが、こちらも2010年10月のABC部数では11万2千部で、前年同月比プラス10,521部と好調である。
 興味深いのは、中部地方では毎日の専売店を整理縮小し中日に販売網を依頼したことで、小学生新聞も一緒に売ってもらえるようになったことがプラスの効果を生んでいるということ。本紙と比べて単価が安いものの、これまで中日の販売店では扱ってこなかった種類の商品であり、「教育」というキーワードで家庭に入っていくための武器になっていることがインタビューから理解できる。品質が良いものであれば、中日の販売店から買おうが毎日の販売店から買おうが読者にとっては関係ないことだし、むしろメインの新聞と一緒の店から買うことができれば支払いの手間も少なくて済む。
 マンションや分譲が続々と建ち、世帯数の上昇に合わせて部数が右肩上がりで伸びている時代は、発行本社と店が強固に結びつくために専売店をたくさん作っていくことが効果的であったのだろう。しかし、少子高齢化がさらに進み、人口減少社会になっていくと、1つの販売店でたくさんの新聞を扱い、読者はそのなかから自分の欲しい新聞を選び届けていくというスタイルになっていくのかもしれない。新聞社同士の連携や業務委託のニュースがあふれる昨今だが、販売店も業務連携していく時代になっていくのだろうか。