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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

政府、全教室への新聞配置予算化は「現時点では考えていない」

 いわゆる新聞業界によるロビー活動の一つにあたるのだろうが、こういうことも行われているんだなあということでメモ。

 政府は11月2日、自民党の高市早苗衆議院議員が10月25日に出した「学校教育に於ける新聞の活用に関する質問主意書」に対する答弁書を提出した。それによると文部科学省は、高市議員が指摘した、小学校5・6年、中学校、高校の全教室に新聞を配置するような予算措置は「現時点で考えていない」と回答した。
 高市議員は、来春から小学校、12年春から中学校と新学習指導要領が順次完全実施されるのにあたり、その環境づくりについて菅内閣の考え方を質していた。
 答弁書では、児童・生徒が、家庭や学校で「いつも身近に新聞がある環境に置かれ、新聞を読む習慣を身につける」ことは、「国語力を高めるとともに、社会的事象を多面的に考察して公正に判断する力を育む上で有意義」との考えを示した。
 高市議員は主意書で、家庭で新聞を読めない児童・生徒もいるとして「せめて学校に行けば全教室で新聞が読めるような配慮が必要だ」と指摘。さらに、新学習指導要領に新聞活用の記載がある小学校5・6年、中学校、高校の全教室に新聞を1部ずつ配置することは「学習指導要領に従った教材の提供という位置づけで、国によって新聞原価等を負担する方法で行われるべき」として、来年度以降の予算措置を伴う新規政策として、その可否を質問した。
 これについて文科省は「実際に各学校において新聞を教材として配置するか否かは、各学校の指導方針や地域の実情等を踏まえ、各教育委員会等において適切に判断すべきもの」だとして、「ご指摘のような予算措置を講ずることは、現時点では考えていない」と述べている。
(文化通信2010年11月8日 「全教室への新聞配置予算化『現時点で考えていない』」)

 2009年1月にはフランスのサルコジ大統領が、若者の活字離れと新聞業界支援の対策として18歳を迎えた成人に希望する新聞を1年間無料で配達する計画を発表したが、その日本バージョンといった意味合いもありそう。
 高市議員の私案では、小学校高学年〜高校までの全教室に1部ずつを原価相当で配布することに対する予算措置を求めている。公平性の観点から特定の1紙というわけにはいかないだろうから、全国紙+有力地方紙という組み合わせになるのだろう。子どもが教室で読むならブランケット版よりもその半分のタブロイド版の方が良いような気がするが。
 業界で働く人々にとっては「新学習指導要領を生かすためには教室に新聞は必要だ」ということで、ぜひ推進してほしい施策になるが、業界外の人々からは「税金を使って新聞社を支援するのか」「新聞という特定の商品を子どもに押し付けるのか」という批判が出てきそう。マスコミに対する批判が厳しくなっている中、全教室への新聞配置を一律で国が決めるというのはなかなか難しいのではないだろうか。