読売新聞ABC部数の怪 即売部数が前年比3万部増?(追記あり)
業界紙・新聞情報の9月18日に、2010年8月の全国の新聞のABC部数が公表されていた。どの新聞も前年同月差のマイナスを表す▲が目立つ。全国の総計では前年比マイナス122万部で、わずか1年で北海道新聞クラスの大手地方紙の発行部数に相当する部数が減少したことになる。
在京6紙の発行部数の変動は以下の通り。
販売部数 | (販売店) | 前年同月比 | (販売店) | |
---|---|---|---|---|
朝日(東京) | 4,342,498 | 4,314,365 | ▲ 5,524 | ▲ 10,984 |
毎日(東京) | 1,377,847 | 1,370,594 | ▲ 125,756 | ▲ 122,728 |
読売(東京) | 6,095,015 | 5,971,143 | ▲ 483 | ▲ 30,254 |
日経(東京) | 1,799,282 | 1,696,767 | ▲ 22,345 | ▲ 4,586 |
産経(東京) | 718,562 | 696,307 | ▲ 50,800 | ▲ 49,374 |
東京新聞 | 549,229 | 538,882 | ▲ 12,846 | ▲ 12,707 |
特に著しいのは毎日新聞(東京本社版)の-125,576、産経新聞(東京本社版)の-50,800。それぞれ1割近くの部数を減らしている。この2紙の減少幅を合計しただけでも小規模な県紙の部数に当たるほどだ。
こういった急激な減少は、単純に新聞を解約する人が増えているだけではなく、いわゆる予備紙(「押し紙」と呼ばれることも)と呼ばれ、新聞社から販売店向けに多めに送っている部数の数を減らしているという事情もあると考えられる。
そういった中でもほとんど減らしていないのが読売新聞の東京本社版。前年比マイナス483部と、これだけを見ると朝日以外が1万部以上減らしている中「さすがは販売の読売、この逆風下でもほとんど減らしていない」と驚いてしまう。
ところが販売店分は3万部ほど減っている。ABC部数とは、(1)新聞社が販売店に送付しその原価を請求した部数(2)即売会社から駅売店やコンビニに卸し、売れ残りを差し引いてその原価を請求した部数(3)郵送による購読者への送付部数の合計なので、販売店分が3万部減っているのにトータルで500部弱しか減っていないのは少し謎だ。
このご時勢、駅やコンビニでの即売部数がそんな簡単に増えるとも思えない。読売新聞には最近、
- ホテル等の宿泊客用にタダ同然の価格で配っている
- 小中学校に「授業で使って」と無理やり置いてきている
などの噂があるが、ひょっとしたら東京本社版の即売部数が増えているのはそのせいではないか。
また、読売ほどではないが朝日も販売店の落ちが多少カバーされている。朝日はこの5月に駅売店やコンビニでの一部売り価格を20円値上げしているので、即売部数が増えるというのは考えにくい。このあたりも謎だ。
(追記:2010/10/16) ツイッター上でこんな写真が投稿されていた(via @york4460)。ビジネスホテルにてラックに「無料です、ご自由にお持ちください」と積まれる読売新聞。即売部数が増加した証拠と言えるのではないだろうか。