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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

共同通信、加盟社の紙面で赤塚不二夫キャラ使用へ NIEなど目的に

 家族で親しめる紙面作りの一助として、共同通信社は人気漫画キャラクターの新聞紙面での二次利用を検討していたが、故赤塚不二夫氏のキャラクターを使用できる見通しがたった。9月2日に開かれた第6回理事会で報告された。使用開始は2011年1月1日付を目指している。
 人気漫画キャラクターは、子どもから高齢者まで多くの読者の目をひきつけるのに効果的だとして、加盟社から「加盟社・共同通信社のネットワークで共通のキャラクターを使用できないか」との問い合わせや意見が寄せられていた。編集局でキャラクター使用について調査したところ、「既存の人気キャラクターを、著作権者の理解を得て、一定の二次使用条件で紙面に使わせてもらう」というやり方が最も安定し、実現可能だと判断した。
 この方針を元に、キャラクターの選定作業を進めたところ、赤塚氏の著作物を管理する「フジオ・プロ」の代表取締役社長で赤塚氏の長女の赤塚りえ子氏から「共同通信社と加盟社のネットワークで父のキャラクターが適切に生かされるなら、お受けしたい」との回答を得た。
 今後、天才バカボンやニャロメといった使用するキャラクターの選定や、リンクさせるコンテンツなどは「フジオ・プロ」と具体的な交渉を進める。「フジオ・プロ」はNIEや教育記事などでの使用と、キャラクターの厳密な管理を条件としているという。
 (文化通信9月6日 「故赤塚不二夫氏のキャラクターを使用へ 共同、加盟社と紙面で」)

 読売のポケットモンスターや朝日のドラえもんなど、新聞をめくる習慣作りに人気漫画キャラクターを使っている例が増えている業界だが、今度は共同通信が故赤塚不二夫氏のキャラクターを加盟社である全国の地方紙の共通キャラクターとして起用する見込みになったとのこと。
 読売の「ポケモンことわざ大百科」は、これまで7000件におよぶ読者からの声が寄せられ、単行本になるほど好評のようだし、朝日の「しつもん!ドラえもん」は社長がインタビューで直々に「読者第一の視点からはこうした工夫が欠かせない」と言うほど高評価のようだ。全国の地方紙としても「ウチにもああいう人気キャラクターが使えたら…」という羨望があり、その声が結集して共同通信が動いたと考えられる。
 気になるのは、同じく老若男女に人気の「ちびまる子ちゃん」を連載4コマ漫画で起用する中日新聞北海道新聞西日本新聞中国新聞などのブロック紙の動きか。若干立ち位置がかぶってくるだけに、共同の配信するコンテンツと併用していくのか、それとも独自に「ちびまる子ちゃん」のキャラクター活用を考えているのか。中国新聞の場合、自社キャラの「ちゅーピー」使った教育コンテンツがすでにあるだけに、どれを生かしていくか悩ましいのではないだろうか。
 確かに子どもに人気がある漫画やアニメならば何でもいいわけではなく、例えば両親の名前を呼び捨てする「クレヨンしんちゃん」では教育用途には不向きだろうし、最近流行の萌え系アニメなどは論外だろう(注・埼玉新聞を除く)。子どもよりもむしろそれを読ませる親世代、祖父母世代に受けるキャラクターでなければならないとなると、他に思い浮かぶのはアンパンマンくらいだろうか。スタジオジブリは読売グループががっちり抑えてそうだし、スヌーピーは産経が一時期使っていたが、「夕刊がこの世からなくなっても犬にとっては困らない」などとTVCMで言ってしまった過去があるし。
 とはいえ、過去の人気漫画キャラクターにすがるだけでなく、新たな価値を生み出していくことも重要。方言を通して地域文化の継承を目指している大分合同新聞の「ぶんぶん」のように、その地方ならではの独自性を持ったキャラクター活用戦略も必要ではないだろうか。