edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

デーリー東北、1面で見出し誤記 いち早くウェブとツイッターでお詫び

 7月1日の朝ツイッターを見ると、自分のタイムライン上で「『岡田首相 退任の意向』と地元紙一面」というツイートが何度もRT」(リツイート)されていた。実際の紙面の画像もアップされており、サッカー日本代表の「岡田監督」と書くべきところを「岡田首相」と打ち間違えをしてしまったことが推察できた。[別のブログへの投稿で青森県八戸市を中心とした地方紙であるデーリー東北の1面であることが判明した。
 デーリー東北は翌日2日の朝刊でお詫びと経緯を掲載したが、今回はウェブ上での対応も迅速に行われた。11時51分にはツイッター上で【お詫び】と題したツイートが投稿され、ほどなくデーリー東北ウェブサイトのトップページにも大きく「お詫びと経緯」が掲載された。
 

【お詫び】今朝、本紙配達エリアの約半分に配られた朝刊1面で、サッカー日本代表の記事の見出しに「岡田首相」とあるのは「岡田監督」の誤りです。読者をはじめ多くの皆さまにご迷惑、ご心配をおかけしました。お詫びして訂正します。less than a minute ago via web

 20100701184631
 ウェブ専業のニュースサイト「 ロケットニュース」の記事に掲載されたデーリー東北のファクスによると、詳しい経緯は以下の通り。ミス発見後、輪転機を止めて印刷しなおしたが、半分の5万部がすでに発送されてしまい間に合わなかったとのこと。

 整理部の1面担当記者が見出しをつけた段階で、メーンを「日本代表きょう帰国」、サブを「岡田監督 退任の意向」としていました。ゲラをチェックした整理部デスクが主見出しと脇見出しの入れ替えを指示し、担当記者が見出しを打ち直した際、誤って入力しました。その後、ゲラの最終チェック段階まで誤りに気づかず、そのまま通してしまいました。印刷開始から約40分後、印刷部員が「岡田首相」になっているのに気づき、輪転機を止めて見出しを「岡田監督」に修正して印刷し直しましたが、既に販売店への新聞の発送が始まっており、すべての新聞を差し替えるまでには至らず、発行部数10万5000部のうち、およそ半分の5万部について「岡田首相」のまま配達される結果となりました
新聞社が「岡田監督」を「岡田首相」と間違えて新聞作り直し! 配達中に気がつく – ロケットニュース24(β)

 もちろん誤記自体はあってはならないことだが、今回のデーリー東北の対応で、ウェブやツイッターなどで一刻も早くお詫びを出したことは大きな見識だと感じた。ツイッター上でミスの存在が広まったのだから、いち早くツイッターでお詫びと経緯を説明することが一番のダメージコントロールにつながったのではないだろうか。上記のお詫びツイートにはあっという間に100を超えるユーザーにリツイートがされた。
 昔のように自社発行エリアに紙を配っているだけであれば、翌日の紙面でお詫びをするというのが普通の流れであっただろう。しかし、ツイッターのような手軽で強力な伝播力を持つツールが普及すれば、このような大きなミスはあっという間に伝わってしまう。紙面上でいくら大きくお詫びを扱っても、そもそも紙面を読んでいない発行エリア外の人には伝わらない。「ウェブの読者はお客ではないから」という姿勢でウェブ上での広報手段を軽視し続けていては、いずれ新聞社そのものの信頼にも関わってくることだろう。
 ちなみに、今回のミス発生の背景にあることを端的に示したツイートがツイッター上にあった。業界で日々働く人間にとっては他人事ではないことが伝わってくる。

昨日付のとある新聞で見出しの誤植がひとしきり話題になった。業界の流れとして校閲部は廃止・縮小される傾向だ。校閲は整理やデスクを含め全員でやる体制にシフト。しかし、ワンマン組版をする整理部に余裕はなく、デスクも細かいところまでノーチェック。結局、ミスの再生産を繰り返すことになる。less than a minute ago via HootSuite