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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

時事通信、来年度の新卒採用見送り 経営統合の観測も

 国内2大通信社の1つ、時事通信社は2011年春の新卒採用を全面的に凍結する。業績の長期低迷に昨今のメディア不況も重なり、雇用の過剰感が急速に高まったためだ。
 とはいえ、大手マスコミが新卒定期採用の見送りに踏み切るのは、異例中の異例のこと。その深層と真相をめぐり、社内外で様々なさまざまな臆測が飛び交っている。
 時事通信は電子メディアなどとの競争激化で収益がジリ貧状態に陥り、09年3月期まで9期連続の営業赤字が続いている(09年3月期の単体営業赤字は44億3400万円)。関係者によると10年3月期も10期連続の営業赤字へと沈んだもよう。

時事通信がついに読売新聞の傘下入りか? 新卒採用凍結は業界再編の序章(1)東洋経済オンライン

 時事通信が来年度の新卒採用を見送るとのこと。その背景には読売新聞との経営統合があり、統合前に少しでも人員整理をしておきたいのでは、という観測が書かれた記事。
 なお、2011年度の採用活動を見送ることは公式ウェブサイトの採用情報でも明記されている。「慎重に検討を重ねてきましたが、採用試験の実施を見送ることにいたしました」とのこと。
時事通信社 採用情報
 確かに、08年度52人、09年度は減らしたとはいえ35人を新卒社員を採用しており、それが突然ゼロになるというのは驚き。何か理由があるのではという憶測が駆け巡るのも納得できる。
 考えてみれば、かつては通信社の仕事と言われてきた速報ニュースを、朝日も読売といった全国紙がウェブや携帯でやるようになって久しい。ヤフーニュースのようなポータルサイトにも産経・毎日・読売といった新聞社が競うように速報記事を配信し、速報ニュースを流す通信社の役割が相対的に薄れているのではと思えてならない。
 また、得意としてきた経済・相場報道においても、日本経済新聞がQUICKで市況ニュースの速報を流すようになっただけでなく、ロイターやブルームバーグのような外国メディアが参入している。全国の地方紙同士の互助会的な役割を持つ共同通信に比べ、時事通信の立場は難しいものがあるのだろう。
 最近話題になっているたぬきちさんの「リストラなう」(大手出版社の希望退職制度に応じた方の日記。リストラ進行中の社内の様子がリアルに伝わる)でも触れられているが、「市場価値が雇用や賃金といった労働条件を決める」という論理に基づけば、マスコミ業界の規模が縮小し、雇用や賃金もそれに合わせたものもなっていく一例なのかもしれない。