edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

ロイター、記者向けハンドブックでTwitterニュース速報を禁止

 ロイターが発表したソーシャルメディア・ポリシーについて。その中で、わざわざ"Twitter Policy"と特別に切り出す形でTwitterについて言及されており、以下の通り明確に「Twitter速報」を禁じています:

Can I break news via Twitter?
As with blogging within Reuters News, you should make sure that if you have hard news content that it is broken first via the wire. Don’t scoop the wire. NB this does not apply if you are 'retweeting' (re-publishing) someone else's scoop.
Twitter で速報を流しても良いですか?
ロイターニュースにおけるブログと同様、ハードニュース(※政治経済などの「堅い」話題)の場合には、最初に電信で報じること。それより先に情報発信しないように。【注】他人のスクープをリツイートする場合を除く。

 ロイターは通信社なわけですから、自社の情報提供サービスよりも先にTwitterで報じることなど言語道断、というのはある意味当然なわけですが。ただTwitterのリアルタイム性が極度に高いことを考えると、「まずは自社ルートで」というのが通用しない場面も考えられるでしょう。その場合にこのポリシーがどこまで適用されるのか、むしろそちらの方が注目かもしれません。
ロイター、「Twitter速報」を禁止:シロクマ日報:ITmedia オルタナティブ・ブログ

 この件については、記者個人の判断で“ニュース”を流すことを禁止するというロイターの企業姿勢の現れであると受け止めた。Twitterが持つリアルタイム性の意義や、ロイターがソーシャルメディアより自社サービスを優先しているという視点ではなく、個人ではなく組織として報道に向き合う通信社としては、「それが本当に“ニュース”なのか」ということを、きちんと組織として判断する必要があるという視点から捉えてみたい。
 シロクマ日報さんが参考記事としてリンクしているTABLOGさんの「JAL上場廃止を朝日新聞がTwitter経由で超速報」にしても、あくまで「数時間後の紙面に掲載される記事の予告」であり、「企業再生支援機構がJAL上場廃止の方針を固めた」ことを、記者が“これはニュースだ”と判断した段階で流したものではない。記者がつかんだネタを、どのタイミングで世に送り出すかということについては、組織としての判断を要するのは当然のことと思う。
 ちょうど今(2010/3/14 19:30)、Yahoo!のトップに「TV 局が虚報 グルジアパニック」がトピックスとして取り上げられていた。ロシア軍の侵攻を想定した擬似ニュースで、実際に起こり得る危機を知らせる目的で放送されたとのことだが、そのニュースの内容だけでなく伝え方や表現一つによってもこのように大きな影響をもたらす。リアルタイムでニュースを流す役割を持つ通信社であっても、内容や表現に慎重であることの重要性は変わらない。
 逆に言えば、ロイターが記者向けのガイドラインでここまでしっかりとしたソーシャルメディアに関するポリシーを作っていることに驚く。どこまでつぶやいていいのか、線引きさえきちんとできていれば、企業内記者はソーシャルメディアをより活用できるようになるんじゃないだろうか。