edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

見ていない人のためのクローズアップ現代「変わる巨大メディア・新聞」まとめ(上)

 1月12日にNHK総合で放送されたクローズアップ現代「変わる巨大メディア・新聞」を録画しておいたのでメモ。2回に分けて要点をまとめ。
 NHKによる番組紹介は以下の通り。

 私たちにとって身近なメディア・新聞をかつてない変化の波が襲っている。世界の新聞ジャーナリズムをリードしてきたアメリカ。収入の7割を占める広告収入が、インターネットの拡大や不況によって激減。新聞の廃刊が相次いでいるのだ。ピューリッツアー賞を何度も受賞してきたニューヨーク・タイムズ紙や、西海岸を代表するサンフランシスコ・クロニクル紙など有名新聞社も経営難に陥っている。新聞社が消えたことによってジャーナリズムの「空白」が生まれ、汚職や選挙違反が増加するのではないか、との専門家の指摘もあり、ジャーナリズムをどう守るのか、国を挙げた議論も始まっている。一方、収入の7割は販売に依存し、経営構造がアメリカとは違う日本でも、将来の生き残りを賭けて新聞業界の取り組みが進められている。日米の現状を通じて、新聞ジャーナリズムの行方を展望する。(スタジオゲスト 立花隆さん)

「アメリカ新聞の危機」

  • アメリカで「正義の番人」と呼ばれていた新聞の発行部数の低下に歯止めがかからない。この2年で発行部数4000万部のうち1000万部も減った。
  • 去年1年間で地方紙を中心に50紙近くが廃刊に追い込まれる。
  • 広告媒体としての新聞の弱さ…1度にたくさんの人に届けられるが、不特定多数が相手で効果が測りにくい。一方インターネットの検索広告はターゲットを絞ってアピールしやすいと考えられている。
  • 西海岸有数の有力紙サンフランシスコ・クロニクル…広告離れに加え、読者もピーク時の半分に。インターネットのニュースサイトも収入低下を補うに至らず。
  • 2008年、50億円の損失。1200人の記者のうち700人以上が解雇。
  • 東海岸の世界有数の新聞社ニューヨークタイムズも記者全体の1割にあたる100人の削減が決定。
  • 同時多発テロの報道でピューリッツアー賞受賞記者もリストラの対象に。今後も質の高い報道を保っていけるのか全米に不安。
  • ニュースの情報源は2年前から「インターネット」が「新聞」を上回る…民間調査。
  • 社員16人のニュースサイト運営会社は売り上げ倍増。自分たちではいっさい取材せず、出典情報を明記した上でネット上からニュースを集めてくる。記事は100字程度に要約し、調査報道など長い記事はない。
  • ニュースサイト運営会社社長「編集部があり記者が各地に駐在する従来型ビジネスモデルは終わった」(当該ニュースサイトはこちら

「日本の新聞業界の模索」

  • 日本の新聞社…広告収入への依存度が高いアメリカとは違い、販売:広告は7:3。広告収入への依存度が低く、アメリカとは状況は異なるも業界は危機感募らせる。
  • これまで熾烈な販売競争を繰り広げてきた全国紙と地方紙に手を組む動き。09年12月の朝日新聞と新潟日報の印刷および輸送で提携。
  • 新潟日報社長「有史以来の危機」。広告収入はピーク時の半分、高齢化や若者の新聞離れも影響。
  • 山間部が多く、配達にコストがかかる。他社の印刷を請け負うことで収入確保を狙う。「地方紙の衰退は地方がそのまま衰退すること」
  • 毎日新聞社長、共同通信社の加盟記者会見に先立ち社内向け緊急集会「記者会見に出て記事をまとめるだけの記者はいらない」。一部の記事を通信社や地方紙から購入し、取材の効率化や独自の調査報道を図る。
  • 石川の県紙・北國新聞に記事購入を打診。支局を閉鎖し空白地帯となった能登半島北部の記事を購入希望。他にも十数社と交渉。
  • 「経営をスリム化した上で、記者は共通の発表情報の裏側あるいは背景、より重要な隠されている真実を掘り出し、世の中の期待に応える」
  • 部数の大幅低下に苦しむ産経新聞社、紙面そのものをiPhoneなど携帯端末に配信。新聞と全く同じ紙面を試験的に無料で。今後有料化も検討。
  • 産経新聞社長「紙とオンライン、その総体で収益を確保。デジタル革命の中で新聞はどうするか悩ましいところ」

ゲスト・立花隆

  • 「アメリカの地方紙が衰退すると、人材供給を頼ってきた全国紙も影響。大転換が起きる」
  • 「業界はものすごい危機感を持っている。東大の学生を10年定点観測しているが、新聞を読む学生は最初3分の1くらいだったのが今は200人中5人くらい。新聞を広げるという習慣がない」
  • 「何が正しいのか、何がファクトなのか、そういう“標準”を規定するのが新聞。それがなくなると情報の収集と判断に恐ろしく時間がかかる。結果、何が正しいのかわからなくなる恐れも。社会が解体するのでは」

後半へ続く)