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朝日新聞、「語彙・読解力検定」をベネッセと共同実施

 朝日新聞社の秋山耿太郎社長とベネッセコーポレーションの福島保社長が10日記者会見を行い、共同事業として、日本語の語彙に関する知識・理解力や活用・読解力を問う検定試験「語彙・読解力検定」を実施すると発表しました。2011年春に本格実施を予定しています。
朝日新聞社とベネッセコーポレーションが共同で「語彙・読解力検定」の開発・実施を行うことに合意:ニュースリリース(PDF)

 リリースによると、「学校で学び、社会で生活する上での基礎的な知識とその活用能力を、日本語の語彙をもとにした設問によって判定する」とのこと。小学生から社会人まで、幅広い層に応じて級を設け、実力を判定できるようにするようだ。問題の作成はベネッセが担当し、来年秋に高校・大学でモニター試験を行い、本試験は再来年の春にスタートするとのこと。
 12月11日付の朝日新聞紙面には特集面で「ことばの力をはぐくもう/読解力 低下の一途/語彙、学力に不可欠」という見出しが並ぶ紙面が掲載され、この「語彙・読解力検定」の意義や特徴が解説されている。日本の読解力の低下が浮き彫りとなっている現状や、語彙力が学力向上に寄与するといった研究が紹介され、新聞記事を読んで語彙力や読解力を養うことの必要性が強調されている。紙面には実際の問題のイメージも掲載されており、パッと見た感じ、高校入試の国語の問題のように思えた。

<「語彙・読解力検定の」特徴>

  • 学力向上に欠かせない「語彙力」を基本に、「天声人語」や「社説」からの出題で基礎的な「読解力」を測定
  • 「辞書語彙(辞書に載っていることば)、「新聞普遍語彙(記事に繰り返し登場することば)」、「新聞時事語彙(ニュースを理解するのに必要なことば)」を出題
  • 「政治・経済・社会・国際」「科学・技術」「生活・医療」「文化・その他」の4分野ごとに得意、不得意を判定
  • 高校生、大学生をはじめ、小学生や社会人まで、それぞれに必要な力をチェック
  • 成績は「級」で表示。明確な評価基準に基づき、継続受験で力の伸びを測定

(2009年12月11日 朝日新聞紙面より)

 毎日新聞社の「ニュース時事能力検定」、日本経済新聞社の「日経TEST」に続き、朝日新聞社も検定事業に進出するようだ。毎日が「時事ニュース」、日経が「ビジネスに必要な知識」をテーマにしているのに対し、朝日は「語彙・読解力」をテーマにしており、一応のすみ分けはできている。
 最近の動きでは、2013年度から実施される高校の新学習指導要綱で、公民の「情報を主体的に活用する学習」において、「新聞、読み物その他資料を収集、選択し、読み取り解釈するなどの学習活動を取り入れること」など、学校の授業の中で新聞を利用することなどが盛り込まれているそうだ。今回の朝日の動きも当然、無関係ではないだろう。
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 新聞を教育の中で使うという運動はNIE(Newspaper in Education)として以前からあるが、それが若者の新聞離れにどれほど結びついているか効果を測るのは甚だ困難と思われる。「検定」という成果が目に見えやすいシステムを導入することで、子どもたちが新聞に目を向けるきっかけが作れるかどうか、朝日新聞社が狙っているのもそんなところだろう。