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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

民主政権で進む大臣会見オープン化、一方で主催の問題も表面化

 政権交代からほぼ50日。霞が関、永田町界隈(かいわい)ではメディアをめぐる環境も大きく様変わりした。民主党は、大手新聞社やテレビ局の記者がつくる記者クラブ主催の大臣記者会見を実質的に「大臣主催」にし、オープン化するように迫っている。オープン化したクラブ、拒否したクラブと対応はさまざまだが、“知る権利”の確保を考えれば慎重な議論が必要となる。それぞれの主張とは−。 (篠ケ瀬祐司、秦淳哉)
東京新聞:民主党政権で進むオープン化:特報(TOKYO Web)

 10月7日に、金融庁の大臣会見オープン化問題で各社の見解相違の実態を朝日新聞が報道したが、そのちょうど1カ月後の11月7日の東京新聞の特報面で、その他の官庁の動きが詳しく伝えられている。残念ながらウェブサイトに出ているのは前文だけで、本文は新聞を買って読んでね、ということだが、良い記事だと思うので紙面から概要をメモ。

省庁名 対応
官邸 鳩山首相就任会見は特例として雑誌、外国人記者のオブザーバー(質問なし)参加を認めた。全面オープンに賛成する社が多いが、一部に強硬な反対論があり、議論の最中。
財務省 全面開放には一部の社が「新聞協会の見解に従うべきだ」と反対。参加者のチェックを役所に委ねて良いのかという議論も。
厚労省 外部からの参加希望は、事前にクラブが認めればOK。クラブ規約の改正論議はなし
環境省 大臣側は「もっとフリーに」と要望、クラブは「記者会見はクラブ主催であり、参加基準はクラブで決める」と反論。物別れのまま。
国交省 従来から専門誌やフリーランスに質問なし参加を認めている
総務省 加盟社以外でも幹事社の許可で、質問なし参加はOK。大臣側から質問も認めるように申し入れがあったが、反対論もあり協議中。
文科省 大臣側は参加基準を示して認めるよう提案したが、クラブは一律の参加基準を作るのは困難として拒否。当面、会見ごとに希望社の参加の可否の判断をすることに。
防衛省 もともと登録54社の記者ならば誰でも参加でき、外国特派員協会加盟の外国人プレスは質問なし参加ができた。大臣側から会見オープン化の要請なし。
外務省 以下のすべてのメディアに開放。日本新聞協会会員、日本民間放送連盟会員、日本雑誌協会会員、日本インターネット報道協会会員、日本外国特派員協会会員、および外国記者登録証保持者。上記メディアが発行する媒体に定期的に記録を提供する者。
法務省 従来通り、幹事社の承認を得れば参加できる。
警察庁 国家公安委員長が会見し、警察庁長官が陪席するスタイルに変わった。カメラ・録音もOK。外部からの参加要望は一社だけ。
消費者庁 幹事社の了解を得て、専門紙も参加。
金融庁 亀井金融担当相がオープン化を提示。親クラブである財務省記者クラブが拒否を決め、以後、会見は2部制に。

 以上が各省庁の対応一覧だが、中でも外務省記者クラブは異色で、岡田外相の記者会見をほぼオープン化した。ネットメディアでは動画サイトのニコニコ動画が生中継し、「永住外国人地方参政権付与についてどう思うか」といったユーザーからの質問を代読するという試みまで行っている。ネットメディアは既存のメディアと同じ質問をしても仕方がないとのことから、既存メディアが聞かないような意外性のある質問も行っているようだ。
 記者クラブ内の合意ができず、「記者クラブ主催」と「大臣主催」の記者会見の2部制に分かれた金融庁では、記者会見が2回になったことでそれぞれの持ち時間が少なくなり、「質疑が消化不良のケースもある」という記者の言葉が紹介されている。また、「大臣主催の会見」が亀井大臣の都合でなかなか時間が取れず、会見運営が大臣の支配下にある側面について、知る権利の制限にならないか問題提起がされている。
 東京新聞の該当記事の論調を簡単にまとめると、「オープン化自体は時代の流れであり、推進していくべきだが、主催は今後も記者クラブ側が行うべき」ということであろう。会見が完全に大臣主催となってしまっては、会見が宣伝に利用されてたり、大臣の都合(気分?)次第で開催がコントロールされてしまう恐れがある。これが権力の監視や「知る権利」に大きくマイナスになりかねないと記事で指摘されている。