edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

米の新聞社崩壊の轍を踏むな「ネットビジネスの終わり」

 まだ新聞・出版業界の関係分しかちゃんと読んでないのでタイトルのような感想になってしまったのだが、著者が昨年11月に出した「情報革命バブルの崩壊」で描かれた状況から、マスメディア業界は一向に良くなる気配がなく、ついにアメリカの新聞社がバタバタ倒れはじめ、ネット業界も金融市場の低迷で資金調達ができず青色吐息、という実態が書かれている。

ネットビジネスの終わり (Voice select)

ネットビジネスの終わり (Voice select)


 著者の今後の新聞・出版業界に対する結論としては、「デジタルメディアに活路を開くためオンラインシフトを進めた米新聞社はことごとく失敗した。人的コストに差があるIT会社と既存マスメディアが同じ土俵で勝負しても無駄。経営の合理化やリストラを進める一方で、民主主義にとって必要な『報道』の意義を21世紀も残していくための公的な枠組みを作るべき」という感じだろう。
 経営の合理化やリストラという点で言えば、例えばよく苦しい新聞社として取り上げられる毎日新聞は、ABC部数ですら石川や富山で2000部前後しか出ていない。にもかかわらず、両県に支局を置き記者も何人か配置している。もちろん全国紙というブランドを維持するためには必要なのだろうが、純粋に収益の観点だけから見ればこれほど割に合わない話もないだろう。いずれ手をつけざるを得ないのでは、と思ってしまう。
 本書では他に「通信業界も資金調達が逼迫」「アニメやゲーム業界への過剰な期待と現実」みたいな話が取り上げられている。
 なお、新聞・出版業界関連分についてはほぼ同じ内容の文章が以下のサイトで読めるようになっている。刺激的な話も多いので、業界関係者には一読をお勧めしたい。
新しい日本を創る月刊誌
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