全国新聞社サイト、洋数字か漢数字か
全国の新聞社ウェブサイトを巡回していると、数字(日付や数量など)を漢数字で書いてある社と、算用数字で書いている社があることに気づく。全体ではどうなのか、興味があったので調べてみることにした。
通常横書きのウェブでは洋数字が基本であるが、新聞社サイトの記事はもともと紙の新聞用に書かれた原稿を紙面制作用のシステムから転用するため、漢数字の文章のまま掲載している場合があると推測される。ウェブ記事は数字変換を行えばいいのかもしれないが、全ての記事に適用させると運用が大変だ。自動化できないこともないのだろうが、固有名詞などがある以上、100%の正確性を担保するのは難しいと思われる。
判断にあたっては、その新聞社の自社記事(ローカルニュース)の記法を重視した。共同通信が配信する記事(全国ニュース)は基本的に洋数字であるため、同じサイトでも自社エリア記事は漢数字だが、その他の記事は洋数字と使い分けられているというケースが地方紙では珍しくない。
また、スポーツ関連の記事は原則洋数字を使用しているケースが多いようだ。
(追記6/2 共同通信は09年5月まで、インターネット向けの記事配信は洋数字、新聞記事制作の向けの記事配信は漢数字で行っていた。しかし、09年6月1日以降、新聞記事制作向けの記事配信も洋数字で行うよう方針を切り替えた)
注意:2009/6/1からの共同通信の新聞紙面制作用記事配信の原則洋数字化に伴い、下の調査結果に大きな変化があった。その後の追跡調査はこちら
⇒共同の紙面用記事洋数字化に伴う加盟社ウェブサイトへの影響 - edgefirstのメモ
まずは地方紙から(2009/5/1現在)。(参考:共同通信の運営する47newsのフッター部リンク)
洋数字 | 漢数字 | |
---|---|---|
47NEWS(共同通信) | ○ | |
北海道新聞 | ○ | |
室蘭民報 | ○ | |
河北新報 | ○ | |
東奥日報 | ○ | |
デーリー東北 | ○ | |
秋田魁新報 | ○ | |
山形新聞 | ○ | |
岩手日報 | ○ | |
福島民報 | ○ | |
福島民友新聞 | ○ | |
下野新聞 | ○ | |
茨城新聞 | ○ | |
上毛新聞 | ○ | |
千葉日報 | ○ | |
東京新聞 | ○ | |
神奈川新聞 | ○ | |
埼玉新聞 | ○ | |
山梨日日新聞 | ○ | |
信濃毎日新聞 | ○ | |
新潟日報 | ○ | |
中日新聞 | ○ | |
中部経済新聞 | ○ | |
伊勢新聞 | ○ | |
静岡新聞 | ○ | |
岐阜新聞 | ○ | |
北日本新聞 | ○ | |
北國新聞 | ○ | |
福井新聞 | ○ | |
京都新聞 | ○ | |
神戸新聞 | ○ | |
奈良新聞 | ○ | |
紀伊民報 | ○ | |
山陽新聞 | ○ | |
中国新聞 | ○ | |
日本海新聞 | ○ | |
山口新聞 | ○ | |
山陰中央新報 | ○ | |
四国新聞 | ○ | |
愛媛新聞 | ○ | |
徳島新聞 | ○ | |
高知新聞 | ○ | |
西日本新聞 | ○ | |
大分合同新聞 | ○ | |
宮崎日日新聞 | ○ | |
長崎新聞 | ○ | |
佐賀新聞 | ○ | |
熊本日日新聞 | ○ | |
南日本新聞 | ○ | |
沖縄タイムス | ○ | |
琉球新報 | ○ | |
合計 | 28 | 23 |
意外と拮抗しているなあ、という印象。新聞社によっては、ほとんどの記事は洋数字だが社説やコラムなどは漢数字だった例もあった。こだわりがあるのだろう。
対照的なのは全国紙のウェブサイトである。
洋数字 | 漢数字 | |
---|---|---|
asahi.com | ○ | |
YOMIURI ONLINE | ○ | |
毎日.jp | ○ | |
NIKKEI NET | ○ | |
MSN産経ニュース | ○ |
なんと全てが洋数字表記だった。日経以外の4紙は新聞紙面も洋数字に移行しているので、ウェブも全て洋数字化が容易なのであろう。
なお、全国の地方紙が使っている共同通信社の「記者ハンドブック(第11版)」によると、原則として新聞用字用語では以下の使い分けをすることになっている。
記事中の数字は原則漢数字で、洋数字を使うのは以下の場合
(1)パーセントとそれを比較するポイント(2)横書きのとき(3)横書きの表や統計(4)日程表の中の日時など(5)運動記事(6)台風の号数(7)震度、マグニチュード(8)写真説明や特に決められているもの(9)特殊な記号や地番など(10)選挙区(11)その他、数字を目立たせたいとき
見出しも原則は洋数字だが、慣用的な語、他の数字に置き換えられない数を含む語、熟語、ことわざを構成する語、ひとつ、ふたつ…と読む場合、不定の数量―などは漢数字とする