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国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

世論調査の仕組みと意義「世論調査と政治」

著者は朝日新聞社で長らく世論調査の実務に関わった経験から、面接調査・郵送調査・RDD(ランダムな電話番号を発生させる電話調査)といった調査手法の仕組みや質問項目の具体的な作成方法、内閣支持率や政党別支持率調査からみる政治といったテーマで一般向けにわかりやすく新書でまとめている。
いくつか面白いトピックスとしては、

  • 歴代内閣の支持率は大きく分けて5つのタイプに分かれる
    「初めはよかったのに」「最後に一花」「高人気維持」「結局、息切れ」「ついに浮上せず」
  • 支持率は「期待」では上げやすいが、「実績」では上げにくい
    国民の期待をあおって高い支持率を保った小泉内閣と、数々の実績を示しつつも惨敗してしまった安倍内閣の例を引きながら紹介。
  • 選挙情勢調査の「的中」と「外れ」の歴史
    選挙情勢予測こそ報道機関による世論調査の信頼度が試される一大イベント。これまで大きく外れたのは79年の衆院選、98年の参院選、そして05年の「郵政解散」による衆院選。他は概ね的中で、特に21世紀に入ってからは05年衆院選を除き安定している。
  • 政治家が意志と覚悟を示せば「世論」を動かすことができる
    06年7月の「小泉首相は終戦記念日靖国神社に参拝すべきか」との問いに57%が「参拝しない方がよい」、29%が「参拝した方がよい」と否定的な見方が多かったのに対し、参拝直後の8月の調査では「参拝したことはよかった」が49%、「参拝すべきではなかった」が37%と、評価が逆転した。

世論調査と政治――数字はどこまで信用できるのか (講談社プラスアルファ新書)

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