edgefirstのブログ

国内新聞社を中心としたマスメディア関連のウェブサイト巡回が趣味です。業界紙的なノリでトピックスをメモしていきます。

西日本新聞がヤフーニュースと長期人材交流 互いの編集ノウハウ学ぶ

 西日本新聞社はインターネット検索大手のヤフー(東京都港区)と1日から人材交流を始めた。西日本の記者とヤフーニュース編集部員1人がそれぞれ1年以上出向し、互いのメディアの特性を学ぶ。ヤフーニュースが新聞社と長期の人材交流を図るのは初めて。
 西日本は1日から、ヤフーニュース編集部員を1年間の期間で編集局に受け入れている。新入社員とともに研修を受け、配属先を決める。「ニュースを届ける使命感や責任感を持つために、実際の報道現場を経験することが有益と判断した(ヤフー広報室)」という。
 西日本から出向するのは5月で、整理経験がある編集局の記者。西日本の吉村康祐社長室デジタルプロジェクト担当部長は「ネットの見出しの付け方や、どのようなニュースがネットで読まれるかなどについて、ノウハウを学んでほしい」と話している。
 (2015年4月14日付新聞協会報より)

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 福岡を中心としたブロック紙西日本新聞が、ニュースサイト最大手のYahoo!のニュース編集部門と人材交流を開始した。ヤフーニュースからは実際の報道現場を経験することでニュースを届ける使命感や責任感を持つことを目的とし、西日本はネットで読まれるための見出しの付け方や読まれるニュースの傾向を学ぶことを目的としている。期間は1年以上と長期を予定しており、単なる職場体験ではなく、お互い本気でノウハウを吸収しようという姿勢を感じる。

 ちょうど今年の4月より、ヤフーニュースが災害時のリスク分散を目的として北九州に編集拠点を置くことが発表されており、西日本から出向する記者の勤務先も関係するかもしれない。
ヤフー、北九州に4月から編集拠点 | 西日本新聞経済電子版

 Yahoo!ニュース編集部は新聞社や通信社、出版社など既存マスメディアで取材・編集経験を積んだ人材が多いことで知られるが、新卒や報道以外の業種を経て入社し、取材経験のない部員も増えてきているのだろう。単に契約で流れてきた原稿や写真を読んで捌くだけでは、「ニュースの配信責任」を言葉では理解していても、実感をもって捉えることは困難だ。取材現場のリアルを知り、どのようなプロセスで記事が世に出るのかを知ることで、ページビューやシェア数だけでは測れないニュースの価値や責任を身をもって体感できるのではないだろうか。最近では名誉棄損裁判などの判決で、ニュース配信元だけでなく掲載した媒体の賠償責任も認める判例も出ており(参考)、媒体側も掲載責任を問われるようになっていることも影響しているのだろう。

 また、西日本新聞にとってもニュースサイト最大手のYahoo!ニュースから学ぶことは非常に大きいだろう。既存マスメディア出身者も多いため、比較的溶け込みやすいのではないだろうか。記事提供の契約もあり、ある意味ネットメディアの中で一番新聞社のカラーに理解がある存在とも言える。他社では朝日新聞からハフィントン・ポストの日本進出と業務提携に伴い出向した例があるが、まだ少数だ。自社内で議論するだけでなく席を並べて一緒に仕事をすることで、ネットメディアならではのノウハウを吸収することができるだろう。本気でネット対策を考えるならば王道とも言える人材育成であり、西日本に続く社も出てきても不思議ではない。

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